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【デトックス・ヨガ】初心者でもできる「むくみ」「ストレス」解消してすっきり

  • 身体・姿勢・健康に関するコラム
  • 2025.07.08

【デトックス・ヨガ】初心者でもできる「むくみ」「ストレス」解消してすっきり

■著者:美宅玲子(ヨガ・ピラティス・美姿勢インストラクター)HP: https://mitakureiko.com

 

むくみ・便秘・肌荒れなど、身体に溜まった老廃物が気になることはありませんか?

イライラ・ストレス・心配事など、心に溜まったネガティブな感情が気になることもあるでしょうか。

皆さんは、こうした老廃物をどのように排出(デトックス)していますか?

ヨガは、心と身体を調和させながら循環を良くし、老廃物をためないすっきりした状態を作ります。

今回はその理由とデトックスヨガのポーズをご紹介します。

自分で老廃物を流し、定期的にリセットして快適な心身の状態を維持するのにお役立てください。

 

1.デトックスとは

解毒」を英語表記した言葉で、体の中に蓄積された毒素・老廃物を取り除く・排出することをいいます。

 

・私たちの身体に解毒システムが備わっている

本来私たちの身体には、不要な老廃物や有害物を除去するシステムがあります。

例えば肝臓は血液中の有害物質を分解し、毒性を少なくしています。

腎臓は血液中の有害物質をろ過して尿から排出させています。

体内で不要となった老廃物の8割以上は便から排出されると言われており、汗や髪の毛・爪からも微量ではあるものの排出されています。

 

・「デトックス」が重要視されるわけ

それでも近年「デトックス」という言葉が使われている背景には、日常生活で取りこむ有害物質(心理的なストレス含め)が多く

身体の排出機能が追い付かないと感じ、不調が気になる人が多いということでしょう。

 

2.なぜデトックスが必要なのか

・人工的な環境の影響

現代人の生活は、人工的に作られた食品添加物が増え、自律神経や体内リズムに影響を与える電磁波やブルーライトも増え

便利がゆえに情報過多で忙しい生活を送るため、精神的にも余裕がなくストレスを抱えることが増えています。

たとえ一つ一つの食品が、人体に影響がない基準をクリアしていたとしても、加工食品に偏って食べ過ぎていたり

ストレスの影響で代謝が落ちた体で食べていたとすれば、解毒が追い付かなくなるかもしれません。

 

私たちの身体の進化は非常にゆっくりしていて、縄文時代の人間の身体システムと大差ないとも言われています。

例えば自律神経には交感神経と副交感神経がありますが、交感神経は「敵が襲ってきた」時の闘争・逃走の神経と言われ

それに対応するために、心拍数を上げて筋肉に血流を送り、内臓に行く血流を制限しています。

 

一方私たちを取り巻く環境は数年単位でどんどん便利に変わっています。

食べ物を得るために農作業や狩りへ行く必要はないし、家事は家電製品が代わりにやってくれます。

運動不足になり、代わりにパソコンやスマホの作業で頭を過度に使っています。

生活の変化に、私たちの身体のシステムが対応しきれない分が、不調となって現れるといっても過言ではありません。

 

3.ヨガの特徴とデトックスの関係

・ヨガの歴史とアーユルベーダ

ヨガは、約5000年前のインドで発祥しました。

同時期にインドで「アーユルベーダ(生命の科学)」が発祥し、ヨガと同様今に至るまで

心身の総合的な健康を追求しています。

 

アーユルベーダで推奨されている生活の特徴は、午前中は白湯を中心に摂り、排出を促す(デトックスことです。

日本の一般的な健康法のように積極的に栄養を摂るのとは違い、不必要な老廃物を減らすことで健康を維持すると考えます。

アーユルベーダはインドの医療にも取り入れられていて、処方にヨガが出ることもあります。

ヨガもアーユルベーダと考え方が共通していて、体内に無い新しいものを取り入れるというより

体内にある不要なものを出して浄化し、本来の健康を取り戻すからです。

 

・ヨガは呼吸と同じ…老廃物を排出してから必要なものを取り入れる

ヨガでは呼吸を重要視します。

呼吸』という言葉は「呼」…吐いてから「吸」…吸う という順番でできています。

人間は、「おぎゃあ」と泣いて(息を吐いて)生まれ、「息を引き取る」(吸って)で死ぬという言葉にも象徴されるように

まず体内から老廃物を『排出』してから必要な栄養を『取り入れる』という順番が自然です。

 

というわけで、ヨガの考え方もまず「デトックス」をすることで、本来の健康状態を取り戻し

必要な栄養があれば、必要な分だけ取り入れます。

ヨガの様々なポーズを呼吸とともに行うことで、不要なものが排出され血流や気の流れを良くします。

また、物理的な老廃物だけでなく精神的なストレスも排出され、本来の健康的な心身の状態を取り戻します。

 

4.デトックスヨガの内容と効果

デトックスヨガは、心身に滞った老廃物を流し排出することがテーマのヨガです。

例えば

  • 息を長く吐きだす
  • 胃腸・腎臓・肝臓の働きを整えるツボ押しやストレッチポーズ
  • 副交感神経を刺激しリラックスをして、ストレス解消をするストレッチポーズ
  • 筋肉を使い、代謝や体温を上げて老廃物の排出を促すポーズ

などがあります。

 

・胃腸・内臓の血流を促す『経絡』とヨガポーズ

東洋医学には、紀元前後から、全身に気の流れる通り道があると言われています。

その気の流れは、各内臓を通り、内臓の血行を良くして働きを整えるとされ『経絡』と言います。

 

例えば

  • 胃の経絡』はももの表~お腹を通る、身体の前面の気の流れ
  • 腎臓の経絡』は足裏のツボから脚の内側を通り、骨盤内を通って腎臓へ至る気の流れ

といったように。

ヨガで経絡を刺激するとは、経絡上のツボを押したり、経絡を伸ばしたりするポーズを言います。

 

デトックスヨガは、肝臓や腎臓・胃腸のように「老廃物を代謝・排出する内臓」の経絡を刺激するポーズを行います。

 

・副交感神経を刺激するヨガの方法

ヨガは、筋力やバランス力を使うポーズ、伸ばしたりねじったりすることで少し痛みの刺激を伴うポーズを行い

それを解いてリラックスすることを繰り返します。

刺激を感じて緊張感がある時は「交感神経」が優位になりますが、それは同時に「副交感神経」が出番を待つ「スタンバイOK」状態になることを意味します。

 

今か今かと出番を待つ「副交感神経スタンバイOK」状態の時にポーズを解くことで、一気に副交感神経の働きが優位になり

末端の血流が良くなり、呼吸が深くなって、リラックスが深まります。

内臓の血行が良くなり、体内のデトックスが促されるだけでなく、精神的なストレス解消によるデトックス効果も高まります。

 

5.初心者でもできるデトックスヨガのポーズ

・三日月のポーズ

両脚をそろえて立ち、息を吸いながら両腕を頭上に上げて手を組み、人差し指を伸ばします。

吐きながら上体を右へ倒します。

ポーズをキープしたまま3~5呼吸繰り返します。

吸いながら中央に戻り、吐きながら反対側でも同様に行います。

 

《注意点》

  • 上体は真横に倒す
  • 呼吸ができる程度、無理をしない角度まで倒す

 

《デトックスポイント》

  • 体側を伸ばすと、内臓の血行が良くなり、代謝を高めデトックス効果を上げます。

 

・英雄のポーズ2

両手を左右に広げ、手首の下に足を置きます。

右つま先を90度外に向け、右を向きます。

息を吸って、吐きながら右ひざを曲げて重心を落とします。

ポーズをキープしたまま3~5呼吸繰り返します。

息を吸いながら膝を伸ばします。反対側でも同様に行います。

 

《注意点》

  • つま先は、脚の根元の股関節から外に向ける
  • 膝を曲げる方向は、つま先にそろえる
  • 膝がつま先より前に出ないように

 

《デトックスポイント》

  • 下半身の筋肉を使い、代謝を高めて心身の老廃物を流します。

 

・コブラのポーズ

うつ伏せになり、両手のひらを肩の真下・胸の横の床に置きます。

息を吸いながら両手で床を押し、腰が痛くないところまで上体を持ち上げます。

身体の前面のつながりと伸びを感じながら、3~5呼吸繰り返します。

息を吐きながら上体を下ろし、うつ伏せに戻ります。

 

《注意点》

  • 肩を下げ、胸を開くように
  • お尻をリラックスさせて

 

《デトックスポイント》

  • 身体の前面の「胃の経絡」を刺激し、消化と代謝を高めてデトックス
  • 胸を開き、ストレスを解消

 

・ウサギのポーズ

お祈りのように正座から両腕を前に伸ばしてお辞儀をします。

両手を耳の横の床に置き、息を吸いながらお尻を持ち上げて、頭頂部を床に着けます

気分が悪くなければ、頭頂部を好きなように床で転がしてマッサージをします。

動きを止め、両手を天井の方へ上げて手を組み、腕を伸ばします。

ポーズをキープしながら3~5呼吸繰り返します。

息を吐きながら両手を離して床に置き、頭を持ち上げて四つんばいになって休みます。

 

《注意点》

  • 気分が悪いようなら、無理をせず休みます。
  • 肩甲骨を寄せて手を組みます。

 

《デトックスポイント》

  • 頭頂部「百会」のツボの刺激は、全身の気の流れ・循環を促し代謝を高めてデトックスを促します。
  • ストレスを解消します。

 

・下向く犬のポーズ

四つんばいになり、両つま先を立てます。

両手でマットを前に押すようにしてお尻を引き、かかとを下げながらお尻を上に尖らせます

両手足でマットを前後に引き伸ばすように床を押したまま、3~5呼吸繰り返します。

息を吐きながら膝を下ろして、四つんばいで休みます。

 

《注意点》

  • かかとは必ずしも床に着かなくてもよく、膝も伸びきらなくてもよいので、わきを伸ばし、背中をまっすぐにしてお尻をとがらせます。
  • 首をすくめず、首肩はリラックスして下を向きます。

 

・ねじりのポーズ

あぐらをかき、右ひざを立てて、左脚の外側に足を置きます。

骨盤を立て、息を吸って、吐きながら上体を右にねじり、左手で右ひざを抱えるか・右膝のを外側に肘を置くかします。

息を吸って背骨を長く伸ばし、吐きながらねじりを深めて後ろを振り返ることを3~5呼吸繰り返します。

息を吐きながらねじりを解放します。反対側でも同様に行います。

 

《注意点》

  • 下の脚は、伸ばした方が楽であれば伸ばし、立てた脚は、下の脚にかけるとお尻が浮くようであればかけずに行います。
  • ねじる側の手は、後ろの床に指を立てておくと、骨盤を立てやすくなります。余裕があれば合掌します。

 

《デトックスポイント》

  • 背骨をねじるポーズは内臓のマッサージになり、代謝を高めてデトックスを促します。
  • 背骨をねじるポーズは自律神経の働きを整え、イライラを解消し気持ちをすっきりさせます。

 

・片方の弓のポーズ

うつ伏せになり、右ひざを曲げて右手でつま先を持ちます。

息を吸いながら右ひざを床から持ち上げ、かかとをお尻から遠ざけます。

ポーズをキープしながら3~5呼吸繰り返します。

吐きながら元に戻り、反対側でも同様に行います。

 

《注意点》

  • 腰や肩が痛い場合は、無理して膝を蹴り上げず、痛みのない範囲で行います。
  • 足を内側から持つと、より肩の伸びが深まります。

 

《デトックスポイント》

  • お腹が床に押し付けられてマッサージされ、体の前面の「胃の経絡」の刺激で胃腸の働きを促してデトックスします。
  • 胸が開かれ元気が出ます。呼吸を深め、ストレスの解消になります。

 

・赤ちゃんのポーズ

仰向けになり、両膝を両手で抱えます。

膝で円を描くようにしてもよい。

お腹のマッサージと腰のストレッチ感を感じます。

腰が気持ちよく伸び、ツッパリ感が和らいだら解放します。

 

《注意点》

  • 腰や股関節が痛い場合は、無理に膝を持たずに行います。
  • 硬い場所で行うと背骨が痛いので、ヨガマットや畳程度の柔らかさのある場所で行いましょう。

 

《デトックスポイント》

  • お腹の血行を良くし、背骨をほぐすので、内臓の血流が良くなり、代謝を高めてデトックスを促します。
  • リラックス感・安心感のあるポーズです。

 

6.まとめ

私たち現代人の生活環境は、ストレスや人工物にあふれていて、私たちの心身には老廃物が溜まっています。

私たちの身体にはもともと、老廃物を排出する(デトックス)システムが備わっています(便・尿・汗・髪・爪などで排出)が

その能力・許容量を超えていることも少なくありません。

 

約5000年の歴史があるヨガは、体の中に溜まった余計な老廃物を排出してから必要な物質を自然と取り込む

というポリシーがあります。

その考えと東洋医学の経絡やアーユルベーダとヨガの、動きが健康に関係する考え方に則った『デトックス・ヨガ』は

自分で自分の体調を整えてデトックスを促すのに役立ちます。

初心者でも気軽にできるポーズもあります。どうぞお試しください。

 

 

■著者:美宅玲子(ヨガ・ピラティス・美姿勢インストラクター)

大学卒業後小学校教員となるも、心の不調で退職。心身の健康を求めてヨガ・ピラティスインストラクターの道へ進む。

心の不調を克服しただけでなく、正しい身体の使い方を身につけることで、長年の腰痛や反り腰・頸椎症・胃腸の張りなどを克服できることを知る。

姿勢改善を重点に置いた独自のエクササイズ・分かりやすい指導に定評がある。アウトドアヨガによるリトリートも長年行う。

◇インスタグラム https://www.instagram.com/reikomitaku/

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